花木の知識

レンゲショウマの植え替え方法


鈴木美津子ガーデン散歩 VOL 17(2020年8月) 千ヶ滝別荘地 より

小川のせせらぎの聞こえる千ヶ滝別荘地から、レンゲショウマの移植の方法を学びます。

レンゲショウマの植え替え

絶滅危惧種のレンゲショウマ

前回、レンゲショウマ移植時の
掘り上げ方のポイントを学びました。

 

今回はレンゲショウマを掘り上げた後の
処理の仕方を学びます。

 

今掘り取りました苗、足場が悪いので移しました。

レンゲショウマ移植のポイント

レンゲショウマを育てているオーナー

ここに白い細根が出ています。

お日様が出ていると、掘ったといってそこに置いておくと、5分か10分で乾いてしまう。

そうしたらもうダメなんです。

 

お水ですぐ濡らして、周りにある土をかぶせる。

「乾かさない」ということが第一のポイントです。

 

 

 

保護植物を移植時に持ち歩く際の方法

レンゲショウマ名前の由来

このまま持っていくと大きすぎます。

 

今は1本だけなので、このままで土を払いませんけれど、

山や野原でたくさんの植物を掘り取る場合は、

土をパラパラと払い落し、根だけにします。

 

新聞紙を広げ、移植する植物を包む

一族一種の日本固有種

保護植物を移植時に持ち歩く際は、新聞紙を広げ、

移植する植物を包みます。


 1.新聞紙の上に植物を寝かせます。

 

2.新聞紙を左右からかぶせて包み、根の部分は織り込みます。

 

3.上部はそっとかぶせて、テープで留めます。

 

根が乾かないよう素早く包みます。

ビニール袋に入れて持ち帰る

植え替え時期は4~5月が良い

しっかりしたビニール袋に新聞紙に包んだものを次々と重ねて、

20個ぐらい入ります。紙袋はダメです。

 

上から水をかけ、包んだもの同士を密着させて持ち帰る。

こうすると、絶対に根が乾かなくて、傷まなくて何鉢も持ち帰れます。

 

これが、私が20代の時から環境保護の先生について習った方法です。

東京近郊の山野草を保護するため飛び歩きました。

移植する植物を植える際のポイント

キレンゲショウマ

 

1.移植する植物の根に対して、さらに大きく穴を掘り、

  土を上下にかき回し、フカフカにする。

 

2.土をフカフカにした後、水をやって十分に濡らす。

 

3.市販の培養土で乾いているものがあれば使用前に5~10分程、

  必ず水を加えて濡らしておく。

 

培養土が乾いていると、移植後水をあげてもしみないで、水が流れてしまう。

植木鉢から水が流れても、土にはしみていないことがあるので、

培養土を十分濡らしておくことは重要です。

 

 

鉢への植え替えのポイント

レンゲショウマ、キレンゲショウマは蕾が丸い

1.ナメクジなどが鉢底から入らないように、底にメッシュを敷き、

  洗って清潔にした軽石を入れる。

 

2.その上に植物を植える。

  根元に根生葉(多年草が冬を越すために準備する芽)が出ていることがある。

  咲き終わった後、花の茎を剪定する際は、根生葉を切らないように、

  少し上でカットする。

 

3.元々土に埋まっていた白い茎の部分まで培養土をかけて植える。

 

4.植えつけたら、1回目は、何回もたっぷり水をやる。

  そうすると下からゴミの黒い水が出ます。

  それを何回かやると水が透明になり、どこに置いても受け皿は汚れません。

 

地植えする場所は、日当たりの良い南側

実生の木は早めに駆除する

お庭に植えるなら、冬霜柱で上がってしまってはもったいないので、

日当たりの良い南側が良いです。

 

どうして高山植物が絶滅しないで今まであったかと言うと、冬は雪が深く、

霜柱も上がらないし、地面と雪の間は暖かかったんです。

 

でも、今は温暖化で雪が降らない。

霜柱が10cm、20cmと上がると植物は上がって動けません。

そうしたら上から押しつけてあげない限り、その下は空間になってしまう。

 

「昔は世話なんかしなかったよ」と言っても、今は気候が違います。

今は南側の霜の出ないところが良いですね。

 

 

 

 

 

夏の水やり

移植時期ではないので大きめに苗を掘る

1.地面の表面が白く乾いてきたらたっぷり水をやる

 

  鉢植えの場合、鉢の土は完全に乾くと塊になります。

  そこで水をやると、塊の周りを水が流れてしまうため、

  根自体が濡れない。

 

2.完全に乾燥している場合は浸透しにくいため、

  何回かに分けて、5分おきくらいに水やりを行う。

 

  地面が水を含んでふくらんでくるよう、少しずつ、時間をかけて

  水やりをします。

 

「水やり3年」、水やりは本当に奥が深いです。

 

 

次回の予告

 

次回はレンゲショウマと同じく

絶滅危惧種に指定されている

珍しい植物をご紹介します。


※今回の動画は、YouTubeでご覧いただけます。

[鈴木美津子ガーデン散歩 VOL 17]


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