鈴木美津子ガーデン散歩 VOL 14(2020年8月) 紫水京別荘地 より
前回のフシグロセンノウの庭後編として、別荘の庭木の診断などを行います。オーナーへのアドバイスなど、楽しみながらご覧ください。
黒アゲハたちが求愛のダンスを舞い、
夜は時折シカやフクロウの鳴き声が静かに響く
紫水京別荘地
今回は前回のフシグロセンノウのご紹介に続き、
紫水京別荘地の庭、後編として
庭木の診断をして頂きます。
楡の大木の良さを活かしながら
どのように長くお付き合いできるかなど
参考になさってください。
お庭のハルニレ(春楡)の木ですが、前来たときはいっぱい大きな木があって、
長い年数の間にこういうきれいなスポットも必要なので
枝を整理されたと思います。
枝を整理したなと思うのは、
こちら向きに鏡にように小枝が出ているからです。
それは切った所から胴吹きといって幹から小さい新枝が出ている。
日差しを求めて茂ってきます。
そして、この木のお陰で大変涼しさもあり、台風などの風もこの上を通り抜ける。
このくらいのスポットは入り込まないから、大丈夫です。
高木なので、強い日差しを遮り、涼しさを呼ぶだけでなく、
台風などの強風を和らげるとても良い効果なんです。
少しずつだんだんに横から見ると壁のように小枝が出ているので、
胴吹きの枝を少し剪定して、透かした方が良いですね。
このままだと幹が多すぎます。
隣と隣の幹が、手も入らないくらいくっ付いてきている。
ちょうど真ん中の幹を 5~6mのところから切ると良いです。
幹を切る時には、水が溜まらないように斜めに切ります。
あまり斜めでは面積が大きくなるから、
3cmぐらい下がる所で切ると、雨が降っっても流れて乾きます。
濡れていると腐るので。
幹が健全な状態を保てば、カルス(樹木のカサブタ)が巻いて傷口が治っていくので
枯れこまない。
そうすると上が程よく空いてきて、良い木になりますね。
実生(種から芽を出して育った)で出ている木は、取った方が良いですね。
ホウノキやなんか育てたくないのは実生のうちに取った方が、
後々の手入れが楽になります。
フシグロセンノウのこの隙間がちょうど良いですね。
夕方きれいだわ、きっと。
やっぱり一生懸命やって、あまりにきれいだと一人ではもったいない、
通る人にも見てもらいたいですね。
それで通る人が「うわぁ、きれい!」て言うと花も頑張るような気がします。
だれにも見せなく、そっとというと活きが悪いような気がします。
科学的にはおかしい話なんですが、本当なんですね。
本当に好きになると笑顔で見てほしくなります。
これ一本ずつ立ててるの?
今年は長雨だったので、フシグロセンノウの背がとても高くて、
倒れないよう一本づつポールを立てているそうです。
すごいですね!
これはイチョウの木のようですね。
30年ちょっとでこの大きさですか。
場所がかわいそう。
イチョウは大木ですから、周りに木がない日当たりの良い場所が良いですね。
家の大事な方角に植えておくと難を避けてくれると言われています。
神社仏閣にはイチョウがあるでしょう?
燃えないんです。
そうすると近隣でイチョウの葉が落ちて困ると、
いつまでも腐らないであるって。
でもそのために延焼は逃れるので国宝級の建物の近くには植えてあるところが多いです。
イチョウは大変寿命が長くて
いろいろな地球の植物が絶えるとしても、イチョウは残るだろう。
ゴキブリとイチョウは残るだろう(笑)と言われています。
メタセコイヤも見つかって太古の樹木ですけど、
イチョウもメタセコイアなどと並び、「生きる化石」と呼ばれています。
イチョウの紅葉した落ち葉でブーケを作ると大変きれいです。
黄色くて遊びになる。
秋に黄色く色づいたイチョウは美しいブーケになります。
この白い花がオトコエシ(男郎花)
このオトコエシはオミナエシ(女郎花)も同じですが、1年目は茎が伸びず、
地面に張って4枚葉ぐらいで1年を越します。
その時に草で取っちゃうと無くなります。
その次から出るシュート(地上から出る茎)、地面を這って、四方八方で増える。
そうすると5~6本群生して真っ白に花が咲いて、
フシグロセンノウが咲いているときれいです。
今これは1年目だけれど、もうちょっと大きいお皿みたいに咲きます。
オミナエシ(女郎花)はそばで見ない、遠くで見た方がいいです。
うまくいったもんで、オトコエシより背丈が少し高い、
黄色いオミナエシはあまり香りが良くない。
なので、玄関などの近くではなく離れた所に植えると良いです。
あまりいい香りとは言えない臭いがするのです。
それぞれに咲いているときれいですね。
キキョウなんかがあったりするとパーフェクト。
見本のような高原の庭ですね。
キキョウは花屋さんでいっぱい出てますが、園芸品種で絶滅危惧種ですよ、
もう野原ではないんです、キキョウは。
花屋さんにあるし、庭に植えれば育つからあると思うんですが、
もう絶滅危惧種指定で野原にはないですね、リンドウも。
本当はこれだけフシグロセンノウが咲くから
ちょっと日向にはいろいろな花があってもいいはずですね。
そしてアゲハがいるからどこかサンショウがあるかなと思ったら、
向こうにいっぱいありますね。
とてもいい環境です。
真夏にウグイスが鳴くというのは夏も涼しいということ。
暑いとウグイスは鳴きませんから。
だから東京の方では春を過ぎると鳴き声が聞こえない。
東京のウグイスは鳴き声が美しくない。
つっかえたように鳴く。模範が無いから。
絶対危惧種であるフシグロセンノウを
少しでも多く残したいと
毎年オーナーは小さな種の収穫に
秋にも軽井沢にやってきます。
この美しいオレンジの貴婦人フシグロセンノウは
軽井沢植物園などでもご覧いただけます。
※今回の動画は、YouTubeでご覧いただけます。